【コラム】「がんばって!」と言わないで。~岩手・被災地を取材して感じたこと~

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どうも、YUMIO@名古屋です。

先日の岩手出張では、

ささやかながら復興支援のお手伝いができればと

大船渡・釜石の両被災地の地元企業さんを

訪問させていただいたんだけど・・・

本社が10mを超える津波に流され

工場が浸水して機械は全滅、

これから販売する予定だった商品も台無しになり、

社員さんが亡くなって・・・

と、各社さん涙無くしては聞けないようなお話ばかり。

でも、みなさん笑顔で、まるで武勇伝のように

おもしろおかしく当時の様子を語ってくださったのは、

(前回の仮設住宅訪問の時にも感じたことだが)

芯の強い東北人特有のサービス精神の表れなんだろう。

▲こちらは大船渡の銘菓『かもめの玉子』でお馴染み

さいとう製菓さんの本社。

カーナビに従って辿りついた先には、

津波被害を受けた当時のままの姿の壊れた社屋が。

▲屋根には3.11の津波水位を示す看板が掲げられていた。

2階建ての事務所ビルが完全にのみこまれたということになる。

さいとう製菓さんは、震災直後に

工場に残っていたお菓子類をすべて無料放出し、

避難所や地域の皆さんへ食糧として配布したという。

『大船渡の誇り』とされている大手企業だ。

※現在は大船渡市内の別店舗へ仮移転中。

前回の被災地取材の際は、

個人レベルで被災者の皆さんにお話をうかがったけど、

『企業レベルの被災』となると、

また話の内容が個人とは大きく変わってくる。

たとえば、個人被災者への支援体制は

行政からも民間のボランティアからも

(大なり小なり差があるとはいえ)比較的手厚いのだが、

津波で流されてしまった会社の機材や

失ってしまった工場を取り戻す手立てはというと、

補償や支援がほとんど受けられないのが現状だという。

ある水産加工会社の社長さんにお話をうかがったときに、

ワタクシは返す言葉を無くしてしまった。

「震災から1年ちょっと、

『もう会社を続けられない』と絶望しながらも

一生懸命、がんばって、がんばって、がんばりぬいて

毎日なんとか生きてるんですよ。

なのに、よそから来た取材のひとたちや

ボランティアのひとたちは、必ず最後に

『がんばってくださいね』とおっしゃる。

ありがたいことではあるんだけど、

これだけがんばってるのに、

もっとがんばれ!ってね・・・・・・正直、辛いですよ。

もう『がんばって』って言われたくない、

というのが本音なんです」

『がんばって』という励ましの言葉は、

声をかける方にとってみれば実に便利な言葉なのだが、

本当にがんばっているひとにとっては

大きなプレッシャーを感じる”攻めの言葉”なのかもしれない。

がんばって、がんばって、

がんばりぬいている相手にエールを送りたい場合、

なんと言って励ましたら良いのだろう。

自分の貧しい語彙の中では

適切な日本語が見当たらない。

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会社復興のための努力や被災地の漁業の現状など

いろいろなお話を一時間ほどうかがったあとで、

帰り際、社長と奥さまが『これ・・・味見がてら持ってって!』

と、会社自慢の水産加工品を数種類、

発泡スチロールの冷蔵ケースに入れて手渡してくださった。

貴重な『復興資源』なのに・・・

申し訳なく思いながらも、ありがたく頂くことに。

会社の外まで見送りに来てくださったご夫妻に、

「ありがとうございました!

どうか、○○さんもお身体に気をつけて、がん・・・」

と言いそうになったところで

「遠く名古屋からですが、応援しています!」

と言い直した。

『がんばって』に代わる言葉は、

それしか思い浮かばなかったから。

▲とても穏やかに見える海。

しかし、震災後2m近く地盤沈下したため、

港のあちこちが水没したまま。

漁師さんからは『漁場が変わってしまった』との声も聞かれた。

そういえば、前回被災地を訪れた時

『復興』という二文字が遠い未来を指す言葉のような気がして

「復興はまだまだこれからですね・・・」

と、被災者の方に声をかけていたんだけど、

それが大変失礼な発言だったと今回気がついた。

歩みは遅いかもしれないけど、

元通りに戻るのはもっと先かもしれないけど、

着実に、少しずつ、一歩ずつ、

被災地は復興へと向かっている。

「あの日から、よく今日までがんばって来られましたね」

と、声をかけるべきだったのだと、

自分の言葉足らずを猛反省しながら帰路についた。

被災地の皆さん、

微力ではありますが、ずっと応援しています。

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