【コラム】岩手県・大船渡市の仮設住宅にお邪魔してきました。

どうも、YUMIO@久々に名古屋です。
今週はずっと、東日本大震災の被災地である
岩手県・大船渡市赤崎エリアを取材。
被災者の皆さんに
震災当時のインタビューをおこなってました。
『大船渡』駅は津波で壊滅的な状況になり
まだ在来線が開通していないため、レンタカーで2時間の旅。
新緑の山々が連なる美しい農村の風景が続く。
遠野、住田と山間の町を通りすぎると・・・・・・
この穏やかな海が、あの日300もの命を奪ったとは・・・
震災から1年2カ月。
現地を初めて訪れた最初の印象は、
『復興』の『復』の段階にもまだ達していないということ。
瓦礫は地域の一部に集められて片付けられているため
町は整然として見えるけど、
巨大なオフィスビルほどもある大きな瓦礫の山が
いくつも並んでいる様子を目の当たりにすると、
『何処から手をつけていいのやら・・・』と呆然としてしまう。
我々名古屋人のように、
広大な平野部に暮らしている人間には
ピンと来にくいのだが、
『東北』の各県はエリアによってまったく地形が異なる。
岩手県の場合は、盛岡のある『内陸部』と
大船渡のような『沿岸部』に分かれているし、
大船渡の中でも『山のひと』と『海のひと』に分かれているため、
暮らしている地域によって被災状況がまったく違っているのだ。
ようやく建てられた仮設住宅の隣地で、
今まで通りの住まいに今まで通り暮らしているひともいるし、
(家が残っていても浸水してしまったお宅も多い)
正直なところ、同じ岩手県内・大船渡市内・同地区内でも
あまりにも大きな格差があることにまず驚かされた。
・・・と、真面目な話はここまでにして。
ふたつめに驚かされたのは、
被災者の皆さんの底抜けな明るさだった。
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「お茶っこしてるから寄ってけばぁ~」
とお誘いを受けてお邪魔した仮設住宅の集会所。
そこでは20名ほどのお母さんたちが
ティータイム(東北弁でお茶っこ)を楽しんでいらっしゃったので、
「愛知県から来た福岡と申します」と自己紹介すると、
「愛知の福岡さんだってさ~!ややこしい~!」と
皆さん一斉にワハハと笑う。
(そこがツボか・・・笑)
その後も何かあるたびに
「愛知の福岡さん、愛知の福岡さん」と
笑いながら声をかけてくださって、
約1時間に渡るインタビューは
とにかく明るい笑いが絶えなかった。
「おらは、家は流されてしまったけど、
大事な入れ歯だけは残ったんだ!」
と、あるお母さんがガハハと話すと、
「うちは、ばぁちゃんが残っただけだぁ!」
と、おばあさんを助けに自宅に戻ったお母さんが
救出時の様子をドラマ仕立てで
臨場感たっぷりに話してくださる。
すると、別のお母さんが、
「おらは、大きなチンコのタネが
気になって気になって仕方なかったんだ~!」
とおっしゃるので、
「お・・・大きな、チ・・・チンコの、タネって、
・・・・・・どんなものですか?」
(まさか、そんな・・・・)
と恐縮しながら聞いてみると、
その場に居たお母さん方が一斉に
ゲラゲラと腹を抱えて笑い出す。
「あらぁ、いやだわぁ~!
チンコのタネじゃなくて、
キ・ン・コ・の・カ・ネだよぉ~!」
と、ハッキリした発音で訂正されて
ようやくその意味を理解。
× チンコのタネ
○ 金庫の金
なるほど。
東北弁はカ行が濁音化するため、
タ行に聞こえてしまうということを、
お母さんたちの明るい笑い声の中で知ることとなった訳でして。
※それにしても、我ながら恥ずかしすぎる聞き違い。
「チンコなんて取材報告書に書いたらダメだよ~!」
なんて冷やかされながら、仮設住宅の集会所は
まるで居酒屋のように賑やかに盛り上がっていた。
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実は、今回取材させていただいた方たちは
幸いなことに親族の皆さんがご無事だったとのこと。
家族を亡くし、まだまだ深い悲しみから
抜け出せずにいる方もたくさんいらっしゃるので、
すべての被災者の方が同じ状況ではないことは
念頭に置いておかなくてはいけないけれど、
仮設住宅で暮らしているお母さんたちは
本当にパワフルで、若々しく、
逆にわたしのほうが励まされれる結果に。
「都会のひとに、こんなもの食べてもらうのは恥ずかしいけど
良かったら持ってって」とお土産までいただいてしまった。
この他にも、仮設住宅のご自宅で、
手作りの稲荷ずしやミツバのお味噌汁のお昼ごはんを
ご馳走になったり・・・わたし、これで良いんだろうか。
今の自分はあまりにも無力すぎる人間だ。。。
取材を終えて、仮設住宅を後にするとき、
お母さんたちに聞いてみた。
「いま何か足りないものはありませんか?」
すると、あるお母さんがこうおっしゃった。
「そだな~。
全国の皆さんからの支援のおかげで、
物もお金も充分足りてるけど・・・
いま足りないものは・・・・・・『自信』だなぁ」
『希望を持って明日を生きるための自信』
『自分が必要とされているという自信』
『自分が生きていていいんだという自信』
その自信を取り戻すために、
お母さんたちはいつも笑っているのだな。
ささやかな楽しみを少しずつ見つけ、蓄えて、
生きる糧にするために。
ずっと笑っていたお母さんが、
最後に真顔で答えてくださったその言葉を聞いて
胸に熱いものがこみあげてきた。
来週、第二弾取材で再び大船渡を訪れます。
『お茶っこ』のお供になりそうな坂角のゆかりでも、
お母さんたちに持っていこうかな・・・。
大船渡の皆さん、
ご協力ありがとうございました。
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本日の〆の一枚
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被災地の状況は想像以上に辛くて
写真を撮る気すらおこらなかったけど、
一本松を見つけたときは、その力強い存在感に感激して
思わずカメラを向けました。